失敗作のきし麺のような髪

Freitag, 2. Oktober 2020

コロナ禍でマスク着用が必須になってから、自分のコンプレックスをかなり隠せるようになってきた。イチゴ鼻や吹き出物のある顎…。

だがしかし、いまだ隠し切れないものがある。髪だ。私の髪はくせ毛と直毛の半々。くせ毛は平べったく、幅が広くなったり狭まったりと波打っている。さながら、まっすぐに切るのを失敗した「きし麺」のようだ。

おまけにこの縮れた「きし麺」は静電気も帯びている。そのせいで櫛はたいてい絡まる。美容院でもスタイリストさんは1、2回櫛が引っかかって落とす。なんとなく、申し訳ないような恥ずかしい気持ちで鏡の中の自分を眺めるのが毎回だ。

友人から「シャンプーやコンディショナー、トリートメントにこだわったら?」と言われて、いろいろ変えてみるが、いまいち効果が実感できずにいる。

ワックスやスプレーでくせを強制する手も考えたが、在宅ワークでヘッドセットを使ううちにぐしゃぐしゃな状態で固まり、直すのが億劫になっている。

さらさらストレートヘアの人を見かけると羨ましくて魅入ってしまう…。

どうにかこの「失敗作きし麺」とうまく付き合う方法がないものかと思いあぐね、見つかった答えが、かんざし。テクニックのあるスタイリストから櫛をひったくるような「きし麺」にとって、箸ほどの棒切れを髪に留め置くことなど造作もないようだ。自分としても何となく髪に気を使っている風を装えるし、何となくまとまる気がしている。

良きトリートメントたちに出会えるまでは、しばらく荒ぶる「きし麺」を箸(かんざし)で鎮める日々が続きそうだ。